第16章・やっと脱皮か?
かなり過酷な課でみんなが嫌煙する外注課がある。
自分たちのペースでは無くひたすら発注元の言う事を聞いてシステムを作る課だ。
今までは、発注元から来るシステム案件を別の関連会社に流すのがメインだったが、業務拡大と言う事になりソフト開発者が必要になった。
ソフト課から生贄としてその外注課に二人のプログラマーを差し出す事になった。
行き当たりばったりなトライ&エラーの開発スタイルの課長とオレはウマが合わかった。
もう一人ソフト課に馴染んでない橋田さんと言うプログラマーがいた。
彼とオレは最も悲惨な課に対して生贄になる事になった。
当時オレは事の重大さに気付かなかった。橋田さんは真剣に会社を辞めようか考えるホド悲惨な部署だった。
この会社ではC言語が出来るPGは橋田さんとオレしか居なかった。(変な会社だよなー)
外注課に行くまで2週間ほど時間が空いたので再びC言語のポインタの復習をした。
すると今まで不明点だった部分がアセンブラを学んだ事によってハッキリと理解できるようになった。
頭の中でソースがどの様な動きをするかがアセンブラレベルで想像できるようになっていた。
コンパイラ・文法・型の概念など一通り理解できるようになっており。以前は半分しか理解できなかった技術書が全て理解できるようになった。
そして橋田さんと一緒に仕事をするようになった。
正直彼のプログラムレベルは半端ではなかった。当初、オレと彼には原付と400ccくらいの隔たりはあった。
彼はWizardレベルとはいわないがGeekなレベルに近い人物だと思う。休日には別の言語を学習するしたり、言語自体も実装するような根っからのプログラマーだ。
今まで実際あってきたプログラマーの中でまだ20半ばではあったがNo2の実力だった。*1
ソースの凝縮度・結合性・抽象化・変数名のセンス、スコープ概念など全く相手にならなかった。(今でもレベルは倍くらいあるかと思う)
そもそも上記で上げた概念の重要さをオレは知らなかった。
飯を食べたり技術的な話を談笑し私のプログラム技術がドンドン伸びている事が実感できた。
やっとまともなソフト開発者になってきたような気がする。
けれど、彼は、積極的に私に対しては全く技術を教えようとはしなかった。あそらく人に伝えるのが面倒なんだろう。
オレがこの会社に入社する以前に二人のプログラマーが橋田さんの下についた。しかし、あまり使い物にならず、人を育てる気が無い課長が教育も何もせずにクビにしたそうだ。
まぁ確かに貪欲な人間じゃないと彼の下だと何もする気が起きなくなると思う。*2
ただし、彼を全く否定する気にはならない。教育の役職でも就いてない限りメンドクサイならば新人を教える義務なぞ到底ないわけだし、やる気の無い新人に教えてる時間の無駄をすごすならばオレも有益な時間を過ごす。
彼の話はユーモアに富んではないけど、環境破壊人や傷つけたりする事について怒りを覚える。昨今のこんな世の中では常識を持ってるイイ奴だから私も嫌いではない。むしろこんだけ仕事が出来る男だから技術者として尊敬もしている(あくまで技術者としてね)
ソフトの世界は複雑だ。才能がある人間に完全な教育を受けさせたらオレが4年掛かった技術レベルまで達するのに、恐らく半年以内に終わらす事ができるだろう。後に書くがオレのレベルもマァマァの所までは来てると思う。
やっといい出会いに会う事ができた。メンターとは言わないが盗める技術を持った人間だ。
左遷されこんな辺境の地でやっとホントのプログラマーになる事が出来た。