第9章・ここも奇奇怪怪
オレにもやっと仕事が回って来た。デスマーチ発生率No1で有名な携帯電話の開発だ。
仕事内容は、改修が主な業務。
Windows上に実装されているアプリケーションソフトをそのまま携帯のOS上に乗せる、レイヤーが高い部分の実装だった。
ソースの調査が主な仕事だったのだが、今思えばそんなに難しくない作業だったと思う。
オレは2歳くらい年下のプロパーの脇田さん(経験3年)の下に付いた。
この脇田さん腕は中々だったが人に伝達する意思があまり無い人で、少し自己顕示欲が強いプログラマーだった。
二人でソース解析を始めたがジャンプテーブル等のテクニックが有り、新人のオレには少し荷が重かった。
ここで不思議なソフト業界を垣間見る事となる。
脇田さん「このボタン押下時にこのジャンプテーブル*1が引っかかって。。。。」
リーダー「ふーんでどうなるの?」
脇田さん「いや、だからそのまんまですよ。」
リーダー「は!?オレ判んないだけど(`Δ´)」
脇田さん「。。。。。。」
オレと脇田さんが解析したアプリケーションの説明をほとんど理解できてない。。。
脇田さんがシステムの説明をしているとしまいには少し逆切れしていた。(まぁ脇田さんも伝達する気持ちがないのか、説明の仕方も一方的な早口だったけど)
そう、このチームリーダーはC言語を理解できてない。
ちょっと驚きじゃないですか!?これでリーダーが務まるのかい?
夜仕事では上位職の人間は下位職を完全に出来るようになってる事が前提だ。
そうでないと上に付けなかった、仮に上に付いても部下からすべからく馬鹿にされ退くことになっていたからだ。
オレは若干20前半でオーナーを見つけて店を持った事がある。当時のオレは部下達より遥かに腕は上だった。しかし、それでもマネージメント力が足りずに癖が有る連中は言う事を聞いてくれなかった。*2
そんなリーダーの下、新人のオレから見ても非効率だった、検討はずれの全く意味のなさそうな調査もしていた。
案の定ドンドンデスマーチに入って逝った。
プログラムの解析や調査に意味が無いと察知したのか、他の新人達は居眠りをブッコキ出来る限り仕事をしてるフリに精力を注いだw(まぁそりゃそうだわな)
結局には大幅な機能縮小となりコスト削減の事態に陥った。チームは半分に縮小してオレは3ヶ月で契約を終わらせられた。
決してそのチームリーダー個人を否定する気は無い。混乱こそしていたが彼は一生懸命に働いていた。
しかし人柄が良い理由だけで論理的な考えが出来ない人をリーダーに立て、結果プロジェクトはデスマーチ。
オレは思う、論理的思考が苦手な人はソフト業界に来ない方が良い。当人も悲惨だし周りも足を引っ張られる。
だからと言ってソフトに向いていない人を馬鹿にする事は全くしていない。
論理的思考が苦手でも芸術センスが有る人でデザイナーで大成してる人
X進数が理解できなくて、営業に移動して成功した人
人には向き不向きがある。ただ、それだけでしょ!
プログアムを組んだ事がない論理的思考が苦手な大学の新卒を人間をなんちゃってエンジニアにしたて上げてる日本のソフト業界に危惧を感じます。
この時に初めてプログラムのソースを追う為のデバッカーの存在とGrepの使い方を知った。